ハットトリックとは?意味や驚きの語源・歴代最速記録まで徹底解説
サッカー中継やスポーツニュースで誰もが一度は耳にする「ハットトリック」。1試合で1人の選手が3得点を挙げる大記録として広く知られていますが、その厳密な成立要件や派生ルールまで正確に把握している人は多くありません。
「試合中のPKはカウントされるのか?」「前後半をまたいだ得点や延長戦はどう扱われるのか?」「4点以上決めた場合の特別な呼び方はあるのか?」といった疑問に加え、なぜ「帽子(ハット)」という言葉が使われるのかという歴史的ルーツまで、競技規則や歴代の公式データを交えて徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:ハットトリックは「1試合3得点」を指し、試合中のPKや延長戦内のゴールも正式に含まれる(PK戦の得点は対象外)。
- 要点2:語源は19世紀英国のクリケットで、3者連続アウトを達成した投手に記念の高級帽子が贈呈された儀礼に由来する。
- 要点3:右足・左足・頭で1点ずつ奪う「パーフェクトハットトリック」や、4得点(ポーカー)、6得点(ダブルハットトリック)など多彩な上位概念が存在する。
【基本定義と達成ルール】ハットトリックとは何か?PKや延長戦の扱いを検証
サッカーにおけるハットトリックの基本定義は、「同一の選手が1試合の中で合計3得点以上を記録すること」です。国際サッカー連盟(FIFA)や日本サッカー協会(JFA)の公式記録においても、1試合3得点を達成した選手はハットトリック達成者として公式記録に刻まれます。
ルール上の細かな疑問として最も多く挙げられるのが「PK(ペナルティーキック)による得点は含まれるか」という点です。結論から言えば、試合時間内に得たPKによるゴールはすべて通常の得点と同じ扱いとなり、ハットトリックのカウントに正当に含まれます。3得点すべてがPKであっても公式記録上はハットトリックとして認定されます。
試合時間と状況に応じた判定基準は以下の通り明確に定められています。
- 前後半のまたぎ:前半に2得点、後半に1得点を挙げた場合でも当然ながら成立します。
- 延長戦での得点:トーナメント戦などの延長戦(前後半各15分)で決めたゴールも「1試合の延長」とみなされるため、ハットトリックの対象となります。
- PK戦(ペナルティーシュートアウト):試合終了後のPK戦で決めたキックは、公式記録上「試合中の得点」には含まれないため、ハットトリックのカウントからは完全に除外されます。
- オウンゴール(OG):相手選手のオウンゴールによってスコアが入った場合、シュートを打った選手であっても個人得点にはカウントされません。
なお、欧州の一部地域(特にドイツのブンデスリーガ)では、文化的・伝統的に「ルペン・ハットトリック(真正ハットトリック)」と呼ばれる独自の概念が重んじられるケースがあります。これは「同一のハーフ(前半または後半のみ)において、間に他選手の得点やハーフタイムを挟むことなく、1人で連続3得点を挙げる」という極めて難易度の高い条件を満たしたものだけを伝統的なハットトリックと呼ぶ風習です。公式記録上は通常の3得点もハットトリックとして扱われますが、現地ファンやメディアの間ではその純度が厳しく区別されています。

【歴史の真相】なぜ帽子なのか?クリケット由来と「3連続アウト」の逸話
「3つのゴール」に対して、なぜ「ハット(帽子)」という単語が使われるようになったのか。その起源はサッカーではなく、19世紀半ばのイギリス発祥の球技「クリケット」にあります。
1858年、イングランドのシェフィールドで開催された試合において、ハイド・ドレイパーズ・クリケットクラブに所属していた名ボウラー(投手)、H・H・スティーブンソンが、3球連続で打者をアウトにするという当時としては奇跡的な快挙を達成しました。
この前人未到の神技に熱狂したクラブ関係者や観客たちは、スティーブンソンを称えるためにカンパ(寄付金)を募り、当時の紳士階級の象徴であった特注の新しい帽子(ハット)を購入して贈呈したと記録されています。この出来事から、3連続アウトを取る妙技を「ハットトリック(帽子を手に入れるに値する神業)」と呼ぶようになりました。
その後、19世紀末から20世紀初頭にかけて近代スポーツとしてのルールが体系化されていく中で、同じく英国発祥であるサッカーやラグビー、アイスホッケーなどの他競技へとこの呼称が波及し、「1試合3得点」の偉業を指す世界共通の用語として定着していきました。
【4得点以上・特殊条件】ダブルハットトリックやパーフェクトハットトリックの定義
サッカーには、通常のハットトリックを超越した難易度を誇る上位記録や、得点パターンに焦点を当てた特別な呼称が存在します。
代表的なものが「パーフェクトハットトリック(Perfect Hat-trick)」です。これは、1試合の中で記録する3得点を「右足」「左足」「頭(ヘディング)」の3つの異なる部位で1点ずつ奪う快挙を指します。あらゆるシチュエーションからゴールを陥れる万能型ストライカーの証とされ、名実ともに最高峰の技術的偉業として称賛されます。
また、1試合で4得点以上を叩き出した場合の呼称についても、国際標準や地域ごとの呼び名が存在します。
| 得点数・記録名 | 詳細・達成条件 | 一般的な呼称・別名 | 難易度・評価基準 |
|---|---|---|---|
| 3得点(基本形) | 1試合で同一選手が3ゴールを記録 | ハットトリック | エースストライカーの証 |
| パーフェクト | 右足・左足・頭でそれぞれ1ゴールずつ決める | パーフェクトハットトリック | 極めて希少な万能ストライカーの快挙 |
| 4得点 | 1試合で同一選手が4ゴールを記録 | ポーカー(Poker) / クアドラプル | 守備陣を完全に崩壊させる決定力 |
| 5得点 | 1試合で同一選手が5ゴールを記録 | マノ(Mano) / レプタプル | 歴史的な大勝試合でのみ発生 |
| 6得点 | 1試合で同一選手が6ゴールを記録 | ダブルハットトリック | プロリーグでは数年に一度の天文学的確率 |
ダブルハットトリックの条件は、文字通りハットトリック(3得点)を2回分、すなわち「1試合で6得点」を挙げることです。なお、1試合で9得点を挙げた場合は「トリプルハットトリック」と呼ばれますが、近代のトッププロリーグにおいて達成されることは極めて稀です。

【伝説の記録集】世界最速からC・ロナウドの金字塔、Jリーグ史に残る偉業
世界のサッカー史には、常識を覆すペースや圧倒的な回数でハットトリックを成し遂げた伝説的な記録が残されています。
【世界最速ハットトリック記録】
ギネス世界記録に認定されている公式戦世界最速記録は、1964年11月28日にスコットランドリーグのロス・カウンティFCに所属していたトミー・ロス選手が樹立した「わずか70秒(1分10秒)」です。キックオフ直後から瞬く間に3本のシュートをゴールネットに突き刺しました。
また、現代サッカー最高峰のイングランド・プレミアリーグにおける公式最速記録は、2015年5月16日に当時サウサンプトンに所属していたサディオ・マネ選手が記録した「2分56秒」です。アストン・ヴィラ戦で記録されたこの電光石火の3ゴールは、現在も破られていない不滅の金字塔です。
【キャリア最多記録とクリスティアーノ・ロナウド】
21世紀のフットボール界においてハットトリックの代名詞的存在となっているのが、クリスティアーノ・ロナウド選手です。ロナウドはキャリア通算で66回以上のハットトリックを記録しており、ポルトガル代表としても男子国際Aマッチ史上最多となる10回のハットトリックを達成しています。好敵手であるリオネル・メッシ選手(キャリア通算59回以上)とともに、サッカー史上の最多水準記録を牽引し続けています。
【Jリーグにおける歴代の達成者と大記録】
日本国内のJリーグにおいても、数々の名場面が語り継がれています。
- Jリーグ第1号:1993年5月16日のJリーグ開幕節、鹿島アントラーズのジーコ選手が名古屋グランパスエイト戦で記録。華麗なフリーキックを含む圧巻のプレーでリーグの幕開けを飾りました。
- ギネス認定の4試合連続:1998年、ジュビロ磐田の中山雅史(ゴン中山)選手が打ち立てた「4試合連続ハットトリック(計16得点)」は、世界記録としてギネス認定され、今なお破られていない前人未到の偉業です。
- 1試合最多得点記録:2019年11月24日のJ2第42節(柏レイソル対京都サンガF.C.)において、柏のFWマイケル・オルンガ選手が叩き出した「1試合8得点」は、Jリーグ公式戦における1試合個人最多得点記録です。
- 最速記録:J1における最速ハットトリックは、2004年に当時サンフレッチェ広島の久保竜彦選手がマークした「3分間(後半39分、41分、42分)」とされています。
【競技別の違い】サッカーだけじゃない?ダーツのハットトリック条件と他競技
ハットトリックという言葉は、サッカー以外の球技やターゲットスポーツでも独自の達成基準を持って広く使用されています。
【ダーツのハットトリック条件】
ソフトダーツにおいて最も身近なハットトリックは、「1ラウンド(3投)すべてを中央のブル(BULL)に命中させること」です。ブルは中央の「インナーブル(50点)」と外側の「アウターブル(25点または50点)」に分かれていますが、ソフトダーツの一般的なルール(ファットブル設定)では、3投すべてがアウターブルまたはインナーブルに入れば「ハットトリック(HAT TRICK)」のアワード画面が表示され、賞賛されます。ハードダーツでは3投すべてインナーブル(50点×3=150点)に入った場合を「スリー・イン・ザ・ブラック」などと呼び分けることもあります。
【アイスホッケーのハットトリックと伝統儀式】
アイスホッケーでもサッカーと同様に「1試合3得点」をハットトリックと呼びます。アイスホッケー界には独特の文化があり、ホームチームの選手がハットトリックを達成すると、観客が一斉に自分の被っている帽子を氷上(リンク)へ投げ込む伝統があります。投げ込まれた大量の帽子はリンクスタッフによって回収され、慈善団体へ寄付されたり、記念として選手本人に贈られます。
【モータースポーツ(F1)のハットトリック】
F1などのカーレースにおいては、同一グランプリの週末において「ポールポジション獲得(予選1位)」「決勝レース優勝」「ファステストラップ記録(決勝中の最速ラップタイム)」の3つをすべて独占して完全勝利を収めることをハットトリックと呼びます。

【実態検証】ファンの疑問を解消|オウンゴールやPK戦をめぐる現場の解釈
スタジアム観戦や中継視聴の現場でファンが抱きがちな、より踏み込んだ実態や判定基準について検証します。
【相手選手のオウンゴール(OG)誘発はカウントされるのか】
ストライカーが放った強烈なシュートが相手ディフェンダーの足に当たり、コースが変わってネットを揺らした場合、公式記録員の判定によって「シュートを打った選手の得点」になるか「ディフェンダーのオウンゴール」になるかが分かれます。枠内に飛んでいたシュートであれば打った選手のゴールと認定されハットトリックに加算されますが、枠外へのシュートが相手に当たって入った場合はオウンゴール判定となり、ハットトリックのカウントには一切含まれません。
【達成後のマッチボール持ち帰り文化】
プロサッカー界には、「ハットトリックを達成した選手は、その試合で使用された公式球(マッチボール)を記念に持ち帰ることができる」という暗黙の伝統的権利があります。試合終了直後、主審からボールを受け取り、チームメイト全員からサインや祝福のメッセージをボールに書き込んでもらって自宅のトロフィールームに飾るのがストライカーにとって至高の栄誉とされています。
【プロの結論】記録の希少性とスポーツ文化が育んだ「ハットトリックの価値」
1試合の総得点が平均2〜3点前後に収まるサッカーという競技において、たった1人の選手が3得点を奪い切ることは、戦術的・統計的に極めて異常値に近い偉業です。ハットトリックは単なる数字の積み上げではなく、「チームの勝利を決定づけ、試合の流れを完全に支配した圧倒的な個の力」の象徴です。
19世紀のクリケットから受け継がれた「最高峰のパフォーマンスに対する敬意と祝福」という精神は、150年以上の時を経た現代スポーツにおいても色褪せることなく、ファンを熱狂させ続ける最高のドラマとして輝きを放っています。
【ハット トリック と は】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ハットトリックを達成したら、何か特別な賞品やボーナスはもらえるのですか?
A1:プロリーグの公式規定として決まった賞品があるわけではありませんが、多くのクラブでは選手の個人契約(インセンティブ条項)に「ハットトリックボーナス」が設定されています。また、前述の通り試合球(マッチボール)を持ち帰ることが国際的な慣習となっています。
Q2:1試合で1人が4得点を決めた場合、ハットトリックは何回と数えますか?
A2:公式記録上のハットトリック達成回数は「1回」としてカウントされます。4得点決めたからといってハットトリックが2回分になるわけではありません(6得点達成時は「ダブルハットトリック」という特別な呼称で称えられますが、公式の記録数としては1試合での達成となります)。
Q3:同一チームの2人の選手が同じ試合でハットトリックを達成することはありますか?
A3:極めて稀ですが存在します。大差がついた試合(例:6-0や8-1など)において、2人のフォワードがそれぞれ3得点ずつ奪うケースがあり、両名ともに公式記録としてハットトリックが認められます。
Q4:相手チームが3連続でファウルをした場合もハットトリックと呼びますか?
A4:サッカーにおいてファウルやイエローカードに対してハットトリックという言葉は正式には使いません。あくまで「自軍の得点」や「クリケットのアウト奪取」など、ポジティブな好プレーの3連続・3回達成に対して用いられます。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
ハットトリックは、サッカーをはじめとする多くのスポーツにおいて、選手個人の卓越したスキルと決定力を証明する最高のステータスです。PKによる得点も正当に含まれるルールや、クリケットの帽子贈呈に由来する深い歴史的背景を理解しておくことで、週末の試合観戦やニュースの受け止め方がより一層奥深いものになります。
今後スタジアムや配信でストライカーがゴールを量産する場面に遭遇した際は、得点数だけでなく「右足・左足・頭のパーフェクト達成か」「何分間で決めたスピード記録か」といった細部にまで着目してみると、スポーツ観戦の醍醐味をさらに味わい尽くすことができるはずです。 (出典: ハット トリック と は(Yahoo!ニュース))